アーシュラ・K・ル=グウィン『ロカノンの世界』

ファンタジーSF。かっこいい。
ル=グウィンは完全に一つの惑星、ひとつの世界観をこちらに提示してくれるので読書中の高揚感が半端ない。ワクワクしかない。
金髪褐色で背の高い美しい種族っていうのもカッコイイし、背が低いが詩人のように示唆に富んだ言葉を持っているフィーアもこれまたいいセリフをたくさん出してくれる。
なにより、ロカノンはもちろん、読者自身もこの『ロカノンの世界』という名の神話の追体験をしているように思わせる没入感を味わわせてくれたのが良かった。のちに〜と語られる、みたいな話はロマンが詰まってる。

「あちこちの城で、わたしたちの歌がうたわれることになりますよ」
「人びとは歌うでしょう。<さまよえる者>とその仲間が南へむかい、空を横切って春の訪れる前の暗闇の中を飛んでいったそのさまを……」