佐藤健寿『X51.ORG THE ODYSSEY』

欲しい欲しいと思ってようやく入手。
中学二年の夏、パソコンが部屋に設置されネットに触れて以来、「x51.org」なる怪しいサイトが、時折オカルト関係のことを検索すると度々その姿を俺の前に現していた。ちょうどオーパーツやらなんやらに熱を入れていた時期であったのでその影響は大きい。
そもそも「.org」の部分がすごく怪しい。どう見ても海外のウィルスが仕込まれているに違いない、女の裸が突然ポップアップされるようなサイトにしか思えなかった。さすがに奇形(フリークス)の情報もてんこ盛りのそのサイトはなかなか他人には勧めづらいものがあり、オカルトへの後ろ向きな暗い情熱とともに自分の中だけにしまわれたのである。
そのサイトが、本を出版するらしいと聞いたのはもう3年位前か。ずいぶん経ってからの入手だ。思い入れがある割には忘れていた期間があったのは確か。
内容。正直UMAに関してはちょっと興味も知識も薄いせいもあり、第3部の「イエティ編」は民俗学的な視点のアプローチが主で助かった。普通に知的関心をひいた。
やはり個人的には第1部の「UFO編」がアツい。結局のところ大した新事実があるわけではないが(もちろんといえばもちろんである。ことUFOに関しては逆に新事実はないほうが真実味がある)、実際にエリア51近辺に行ったらカモデュード(エリア51を警備する謎の集団)にしっかりマークされていた様子を描いてくれていて、そのフンイキを味わわせてくれるだけで十分であった。
ただ遠くから「見ているだけ(作者が事故っても)」の様子は『イリヤの空〜』で何度も描かれたあの「怪しい感じ」をまさに現実に持ってきたようなもので、イリヤファン、UFOファンとしてはうれしい限りの内容だった。
QMAのオカルト検定で大敗を喫したこともあるし、またしばらくオカルトへ情熱を向けてみようかしら。そんなことも思わせる本。