うえお久光『紫色のクオリア』

以前書いた「PSYCHE」をオススメしていたブログで紹介されていたので、なんとなく印象に残っていたこの本。丸善で「09年このSFが読みたい!5位」みたいなPOPが貼ってあったのでついでに思い出して購入。
プロローグ的なものと、もう1話。前者のほうを読んでいる時はいまいち絶賛されてる理由がわからなかったけども、後者のほうを読み始めて反省。いや、おもしろいコレ。ガチSFでした。
どうも一緒の日に買ったPSYCHEと色々共通点の多い作品だったような。クオリア哲学的ゾンビと次々とPSYCHEで見た単語が出てくるので考えさせられることの多い有意義な読書になった、と思う。
『傑作選』でもライトノベル上がりは秋山以外はわりと「存在という概念」みたいなテーマが感じられた。あまり戦闘描写というか、そういった激しい動きを描写する必要がない。上手い人でないとどうしてもチープになりがちなライトノベル的戦闘描写を、作品の必然性という理由付けで丸々カットできるのはライトノベルをSFに昇格させるのにとても良い細工なのかも?
斜めな目線で書いてみたものの、確かに量子力学と美少女は結び付けやすい部分は多い。そういった目で過去の「名作」といわれてきたエロゲ、ラノベなどなどを見ると「平行世界」だとか「セカイの認識」だったりがネタになっているものが多い気がする。まぁこれはゼロ年代だとか美少女モノに限らないのかな。「時かけ」なんか1967年だもんな。
ゼロ年代は美少女+量子力学がアツかったとして、次はどうくるのか楽しみ。平行世界モノはエロゲシステムと相性良すぎだったね、実際。