村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』

実はハルキ読んだことなかった。読まないうちにノーベル賞とかとられると困っちゃうので読んでおくことに。昭和63年に発行かー。思ったよりずっと昔だ。
やっぱりおもしろいんだなぁこれが。話もそうなんだけど、なにより主人公にすごく魅力を感じる。共感もすごくわく。家のドアがガンガン叩かれてぶっ壊されそうなのにのんびりビールでも飲んでるところとかは本当に良いキャラしてる。
『世界の終り〜』が色んなアニメだのなんだのに影響を与えているっていうのは知っていたものの、読み進めると本当に色んなそういう要素がこの小説から感じられた。灰羽連盟なんかは本当に世界の終りそのままじゃんってくらいだし、二つの物語のクロスする感じもどこかで見てきたような。気持ちは分かる。これはたしかにオマージュしたい。
あと逆に、地下の世界に住んでる「やみくろ」たちの設定はクトゥルフ神話の「深きものども」のオマージュなのかな。魚の形をした神を信仰してたり、人間とはかけ離れた生態になってたり。地下の奇妙な雰囲気もラヴクラフトの鬱っぽい感じだったし。
結局、俺はハルキがこれにこめたメッセージっていうのが具体的に読み取りきれないまま読了してしまったわけだけど、それでも心に残るものはいろいろあった(と思いたい)。
海外に人気なのもなんとなく分かる。一回書いたのを英語にして、もう一回翻訳したような、そんな言い回しやセリフっぽいから。少なくとも川端みたいな「美しい日本の私」的な評価とは違う意味での、日本人的感性が人気なのかなーとか思った。思っただけ。