機本伸司『神様のパラドックス』

「『神様のパズル』のスピンオフ」らしい。ただつながりとしては作者が同じで、作風とかちょっとした時代設定が同じってくらい。
前作と同じく、登場人物たちの議論によって、作者の設定したテーマを読者にも分かりやすいように進めていく手法っぽい。でっかいテーマの根本にはいつも身近な、誰でも抱くだろうちっぽけな悩み(だが主人公は若者なので「大いに」悩む)がある。『〜パズル』では主人公から物語への働きかけがあまりにも微力すぎてただの傍観者と化していたのに対し、今回はずいぶんと主人公が物語に関わっているようでちょっと満足。
でっかいテーマとしては「神って何?」みたいなもんで、ちっちゃいところには「じゃあ結局私って何よ」みたいな。自分がわかんないのに神がわかるわけないじゃんってな落としどころか。社会の問題は個人の問題に突き詰められていくもんなんだろうか。
きわめて個人的な意見だけれど、俺は「私が何、なんてわからんでもそれなりに生きてきたし、これからもなんとなく出世欲だとか色んな欲にまみれて生きていきますよ」というスタンス。救済だとかは今んとこケッコウでござる、と。色々考えた上での「悩んでもあんまり良いことないかな」という結論からなので楽観主義ってわけじゃないのである!・・・・・結論的には楽観主義なんですかね?