J・ティプトリー・ジュニア『たったひとつの冴えたやりかた』

"The Only Neat Thing To Do"を『たったひとつの冴えたやりかた』とはうまくやるなー。この人の小説の邦訳は結構イケてるのが多い。『愛はさだめ、さだめは死』とか。やっぱりSFの名作は題名からしてカッコイイ。一番ビビっときたのは『モナリザ・オーヴァドライヴ』内容がまったく予測不可能。でもまだ読んでない。古いSFほんと見つからない。
中篇3つの構成。
『たったひとつ〜』行動力がありあまり過ぎてる16才の少女が、ひとり未開の宇宙を探索しに行って、寄生体型ミクロエイリアンと遭遇してなんちゃらという話。オチはまったく予想外。まさか。
『グッドナイト、スイートハーツ』宇宙的SFアクション活劇といった感じ。若干都合がよすぎるんじゃないかと思う部分もあるけどそこはフィクションなので。クローンだとか、とにかく未来科学の描写が説得力があるからか、すんなり読める。
『衝突』未開の宙域に住むエイリアンとの緊迫感のあるコンタクトの様子。わりとワクワクしながら読めた。SFはワクワク感大事だと思う。SFはよく便利な「翻訳機」みたいなのが出てきて、言葉の壁は無いものとして扱うことは多いけど、これはしっかり言葉が通じない。全く、というとさすがにテンポが悪いので「言語体系的に似ている」という扱いだけど。
この『衝突』は色々新鮮味があった。エイリアンが支配しているであろう宙域に入ると、精神感応を受けてまるで自分がエイリアンの体(尻尾があって、手は4本で・・・・など)を持っているかのような錯覚に陥るところは、面白い発想。活動領域だけでなく、精神的な領域というのもたしかにあるのかもなーと思った。
あとお互い「おまえ・来る・よい?」みたいな片言でなんとか意思疎通とる場面は、これまた面白い。
そんな感じ。土台があるな!と感じられてさすがに名作家。