ミュッセ『戯れに恋はすまじ』

意地っ張りで理屈っぽい意固地な男女が互いに「あんたなんて好きだけど嫌いなんだから!」と言い合ってけんかをしていたら、それにまきこまれた村娘が悲惨な目にあって終わる話。なんだそれ。
上記の、主人公の男とその従妹との意地の張り合いとはまったく別に、それらを取り巻いている大人たちが滑稽なことをしまくる謎の展開もある。とにかく場面転換が多い。あとがきにも書いてあったように本当に「読むための」戯曲なのかもしれない。
とにかく、二人の会話がキモだと思う。最初は従妹のほうが男の恋心を逆手に取ったように主導権を握っていたのだけれど、そのうち男が「君だってそうは言っているが僕のことを愛してるに違いないさ!」と吹っ切れてこれ見よがしに従妹の乳姉妹だった村娘に求婚し、立場が逆転していく様子が愉快。「結婚は嫌よ。してあげないわ」と拒んでいたはずが「ねぇ本当にあの娘と結婚なさるつもり?」となっていく従妹にちょっと萌える。