森鴎外『雁』

白樺派で攻めるのは断念。だって置いてないんだもん。詰み。
やはり自分が面白いと思う小説は、女性の心理やその性質をまるで見てきたかのように細微に描写しているものが多い。もっともそれが真であるかどうかは男である身分ではわかりえないのだが。でもそれに関しては「それっぽい」「納得できる」「理にかなっている」というぐらいの心持でいい。そんな気がします。面白さの中には登場人物がその「理にかなっている」状態から、道理とは外れた状態にもなるし、その塩梅が『リアリティ』なのかもしれない。
しかし、この時代の小説に出てくる風景や町並みは、作者が実際に住んでいた訪れたところをほぼそのままに描写しているのが多いとは思うけど、そんな風に小説の舞台として耐えうる魅力を持つ町並みが、空気がこの時代にはあったのだなぁと思うとうらやましい。
本当に通りとかの描写が細かすぎて読むたびにいつも感心しています。・・・・もしかして空想だったりするのか?それにしたってすごい。
この作品については、もう単純におもしろかったので良しということで。